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交流分析士は「交流分析(TA)」という心理療法を習得した者として認定される資格です。交流分析はアメリカの精神科医E・バーンによって開発された心理療法であり、独自の人格理論でその人の心の状態を分析し、クライアントの対人関係のパターンを読み解き、これを好ましい方向に変えていくことが基本となっています。
交流分析の基本は「自立した人間」を目指すことであり、「自己理解」「気づき」「自発性」などが自立した人間の定義として挙げられています。
この交流分析では、「構造分析」「交流パターン分析」「ゲーム分析」「脚本分析」の4つの分析方法を用いて分析が行われ、自立した人間として、自分自身と相手を理解できる好ましい人間関係の構築に努めていきます。
この心理療法は応用の範囲が広く、家族関係を良好にしたり、組織内のチームワークをよくしたりするなど、家庭や教育、医療、企業などでも活用されています。
交流分析士は現在、NPO法人日本交流分析協会と日本交流分析学会が別々に認定しています。しかし、いずれの資格も交流分析という心理療法に基づいています。
日本交流分析協会は一般社会での交流分析の普及に力を入れており、全国の支部で一般向けの講座を開講しています。
資格は初級、2級、1級、インストラクター、准教授、教授という6段階で認定しています。また、インストラクター取得後にTA心理カウンセラーの試験を受ける事もできます。
それぞれ受験資格が異なりますが、臨床心理士のように大学や大学院での心理学履修などの条件はなく、基本的には協会が実施する講座を決められた時間受講することで受験することができます。
以下に、資格の種類と取得方法を示します。
資格 |
取得方法 |
初級 |
協会が実施する初級講座(20時間)を受講し、認定試験に合格する |
2級 |
協会が実施する2級講座(40時間)を受講し、認定試験に合格する |
1級 |
2級の認定試験に合格したのち、協会が実施する1級講座(35時間)を受講後、認定試験に合格する |
インストラクター |
インストラクター受講資格試験に合格したのち、協会が実施するインストラクター養成講座(基礎18時間、実技20時間)を受講し、かつ、1級資格を取得してから1年以上経過し、インストラクター認定試験に合格する |
准教授 |
インストラクターの資格を取得してから2年以上が経過し、協会が実施するTA関連講座(基礎18時間、実技20時間)を受講し、准教授認定試験(指導歴や論文審査、発表審査)に合格する |
教授 |
准教授の資格を取得してから3年以上が経過し、協会が実施するTA関連講座を受講し、教授認定試験(指導歴や論文審査、発表審査)に合格する |
TA心理カウンセラー |
インストラクターの資格を取得してから1年以上が経過し、協会が実施するTA心理カウンセラー養成講座(10日間)を受講し、認定試験(学科・実技査)に合格する |
日本交流分析学会が認定する交流分析士の資格を取得するためには、大前提として学会に入会しなければなりません。誰でも入会できるわけではなく、医療や心理学、教育分野などの職業に従事していること、大学学部以上か、それと同等と認められたものに対して正会員が認められます。
それ以外の人は一般会員として登録され、学会や講習会に参加して勉強しなければ正会員にはなれません。
学会認定交流分析士の受験は正会員でなければならず、かつ正会員として入会後3年以上経っていることが最低条件となります。受験を申請するには申請書で書類審査が行われますが、その際に以下の条件が必要となります。
項目 |
条件 |
学会発表 |
他の学会や研究会でもよいが、2回以上の研究業績があること |
論文 |
学会誌や学術誌等に交流分析に関する論文が1編以上あること |
実践ケース |
実践したケースが5例以上あること |
自己分析 |
交流分析を行った自己分析記録があること |
学会参加 |
学会や研修会に2回以上の参加記録があること |
推薦 |
学会認定研修スーパーバイザーの推薦書があること |
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