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公認心理師の仕事
求められている4つの職務とは

目次



公認心理師が取り組む4つの職務


 公認心理師が行う業務は公認心理師法で規定されており、専門的知識および技術をもって、以下に示す4つの業務を行うこととされています。

  • 心理状態を観察し、その結果を分析すること
  • 心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと
  • 支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと
  • 心の健康に関する知識の普及を図るための教育および情報の提供を行うこと

 1つ目の「心理状態を観察し、その結果を分析すること」は心理査定を意味し、2つ目の「心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと」は心理面接を意味しています。つまり、この2つは臨床心理士と共通しています。

 3つ目の「関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと」は、いわゆる家族などとの面接であり、これも臨床心理士の心理面接に該当します。

 臨床心理士の職務にない記載として、4つ目の「心の健康に関する知識の普及を図るための教育および情報の提供を行うこと」がありますが、この業務はこれまで臨床心理士が「地域援助」として行ってきたことを考えると、公認心理師として規定されている業務は臨床心理士の業務が基本であると言えます。

 決定的に異なるのは、臨床心理士の職務として規定されている「臨床心理学に関する研究」が公認心理師にはないことです。これまで心理学分野において国家資格が存在せず、臨床心理士の資格がそれに代わる存在でした。

 そのため、臨床心理士という資格に更新制度を設け、5年間の間に学会参加や研究論文の発表をさせるなど、自己研鑚を促して知識の向上と発展を図ってきた経緯があります。

公認心理師の職務@
心理査定


 心理査定はクライアント(依頼者)に心理テストをやってもらうだけのような単純なものではありません。心理査定は心理アセスメントともいい、クライアントの表情や話し方、態度、心理テストの結果などから、クライアントがどのような状況なのか、特性や問題点、課題を把握し、どのような方法で援助していけばよいのか、方向性を探っていきます。

 クライアントにとっては「公認心理師と面談している」だけの状況ですが、公認心理師はクライアントとの会話の中から必要な情報を聞き出して状況把握を行っていきます。この心理査定は病名を決めるわけではないので、医師が行う「診断」とは異なります。

 心理テストには、家や木、人を描いてもらうHTPテストや、一本の木を描いてもらうバウムテスト、全550問からなる質問紙法であるMMPIなど、さまざまな手法があり、クライアントの状況を調べるのに適したものを選択していきます。


公認心理師の職務A
心理面接


 心理カウンセラーという言葉に代表されるように、心理学領域にとって「カウンセリング」はとても重要なものです。心理面接はこの「カウンセリング」を意味しており、公認心理師はカウンセリングやさまざまな心理療法を用いることでクライアントを支援していきます。

 この心理面接ではクライアントとの信頼関係構築が不可欠です。その人間関係の中で共感や納得、理解などの心情が生まれ、クライアントが話しやすい環境をつくり、対話を進める中でクライアント自身が自己理解や肯定、治癒ができるようにしていきます。

 心理療法と一言で言っても、代表的なもので20前後、幅広く見れば200以上も存在しています。その中からクライアントに適したものを選択していきます。代表的な心理療法として、認知行動療法、ゲシュタルト療法、家族療法、遊戯療法(プレイセラピー)、箱庭療法、芸術療法、クライアント中心療法などがあります。


公認心理師の職務B
関係者への面接


 臨床心理士の場合、この「関係者への面接」は心理面接に含まれていますが、公認心理師では職務として独立して明記されています。この「関係者への面接」とは、心理支援を必要とするクライアントではなく、その周辺にいる家族や職場の人、学校関係者と面接することを意味しています。

 不登校やひきこもり、発達障害、問題行動を起こす子供の場合、本人と会うことができず、家族や担任としか話ができないこともあります。そのような状況では、心理療法の1つである「家族療法」を用いて、クライアントを間接的に支援していきます。


公認心理師の職務C
心の健康に関する教育・情報提供活動


 大人でも子供でも、人間関係が得意な人もいれば、苦手な人もいます。友達がすぐにつくれる人や気持ちをうまく伝えられる人がいる反面、それらがうまくできない人もいます。

 このようなスキルや知識はあまり学校の授業として教えてくれるものではなく、公認心理師が「心理教育」という形で、子供だけに限らず、大人に対しても行っていくことが求められています。



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