臨床心理士になるためには、日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格試験を受験する必要がありますが、誰でも受験できるわけではありません。受験資格を得るためには、日本臨床心理士資格認定協会から指定を受けた指定大学院や専門職大学院の大学院修士課程を修了する必要があります。
臨床心理士を育成するための指定大学院制度は1996年度に始まり、2007年度からは指定大学院の修士課程修了が受験資格を得るために必須となりました。なお、医師免許を持っている場合は臨床心理の実務経験を積むことで受験資格を得ることができます。
指定大学院と専門職大学院は全国で169校あり(2015年時点)、第1種が152校、第2種が11校、専門職大学院が6校となっています。
指定大学院は、その担当教員の編成や実習設備の充実度によって第1種と第2種に区分されており、指定は日本臨床心理士資格認定協会によって指定されています。
大学院指定のポイントとしては、大学院研究科の専攻・課程の名称が原則として「臨床心理学」であること、臨床心理学を体系的に学ぶための人材とカリキュラムがあり、実習設備が整っている事などがあげられます。
第1種指定大学院を修了すると実務経験がなくても受験資格が与えられますが、第2種指定大学院は修了後に1年以上の実務経験が必要とされています。そのため、第1種指定大学院に受験者が集まり入学試験が難しくなる傾向があります。
第1種指定大学院と第2種指定大学院の概要は以下のようになっています。
指定大学院の種類 | 担当教員 | 設備 |
---|---|---|
第1種指定大学院 | 臨床心理士の資格取得者が5名以上必要(そのうち専任教員は4名以上で必ず教授1名を含む) | 実習を体系的に実施する事が可能で、1年以上の活動実績がある付属臨床心理相談室などがある。相談室には事務室のほか、一定数の面接室、プレイルームなどが完備されている必要がある |
第2種指定大学院 | 臨床心理士の資格取得者が4名以上必要(そのうち専任教員は3名以上で必ず教授1名を含む) | 実習を体系的に実施する事が可能で、1年以上の活動実績がある付属臨床心理相談室またはそれに準ずる施設がある(学外の施設も含む) |
専門職大学院とは、臨床心理士のより高度な専門職学位課程をカリキュラムとする大学院であり、基本的な考えは指定大学院と同じですが、第1種指定大学院に比べてより専門性の高い教育を行う大学院といえます。
履修が必要な単位数も指定大学院が26単位以上となっているのに対し、専門職大学院では44単位以上が求められています。専門職大学院を課程を修了した者については、臨床心理士の受験資格が与えられるだけでなく、資格試験における論文試験が免除されます。
この専門職大学院は2005年度に九州大学に設置されており、2015年時点で6校(九州大学、鹿児島大学、広島国際大学、帝塚山学院大学、関西大学、帝京平成大学)となっています。
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