臨床心理士が働く職場として代表的なのが医療・保健分野です。もっと具体的に言うと、病院や診療所のほか、精神保健福祉センター、保健センター、保健所、老人保健施設などが挙げられます。
臨床心理士全体の4割程度が医療・保健分野で働いており、その中でも病院・診療所で全体の約8割、精神保健福祉センター・保健センター・保健所で約1〜2割となっています。
病院・診療所では圧倒的に多いのが精神科や心療内科であり、医師の指導の下、心理療法や心理アセスメントを行っています。具体的には、うつ病や依存症、統合失調症、発達障害、認知症などがあります。
また、心の病気だけではなく、怪我や病気の治療で苦しんでいる患者やその家族の心のケアも臨床心理士の大切な仕事といえます。
臨床心理士の活躍の場として注目されているのが学校をはじめとする教育施設です。子供の心を取り巻く問題として、いじめや不登校、児童虐待などが問題化しており、教育分野で心の専門家が求められるようになりました。
そこで文部科学省の主導のもとスクールカウンセラーの制度が始まり、始まりは154校でしたが、そこから20年以上が経過した現在では2万校を超える教育施設でスクールカウンセラーが配置されています。
スクールカウンセラーに求められることとして、子供を取り巻くいじめや人間関係に起因する心の問題に対する援助のほか、その保護者や教職員に対するケアが挙げられます。
児童相談所や老人ホームなどの福祉施設もまた、臨床心理士が必要とされている職場です。児童を取り巻く問題として虐待やいじめ、不登校、発達障害がクローズアップされるようになり、障害のある人や高齢者においても心の問題が付き纏います。
臨床心理士が働いている主な福祉施設として、児童相談所、児童発達支援センター、介護老人保健施設、老人ホーム、身体障害者更生相談所、発達障害者支援施設、女性相談センター、DV相談支援センターなどが挙げられます。
働き方が多様化する中で、精神疾患による休職や退職、自殺、過労死などの問題が増加するようになり、社会人のメンタルヘルスが社会問題として取り上げられるようになりました。
そのような問題をサポートするため、企業の中にメンタルヘルスの相談窓口が設置されるようになったほか、産業保健推進センターや地域産業保健センターなどの公的機関でもサポートを行っており、臨床心理士の活躍の場として期待されています。
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